はじめに
「人を愛するとは何か?」
「人間とAIの違いはどこにあるのか?」
そんな問いを、静かに、でも確実に心に突きつけてくる作品が**『ユートロニカのこちら側』**です。
恋愛小説のようでありながら、背後には冷ややかな未来社会の影――そして、深くて怖い“真実”が隠されています。
📘 基本情報
- タイトル:ユートロニカのこちら側
- 著者:橋爪駿輝(はしづめ・しゅんき)
- 出版社:早川書房
- 刊行年:2021年
- ジャンル:SF、サスペンス、ディストピア、恋愛×AI
- キーワード:AI、感情、監視社会、アイデンティティ
🧠 あらすじ(ネタバレなし)
舞台は近未来の日本。人々の生活はAIによって完全にサポートされ、合理的で幸福な社会が築かれている。
そんな中、感情が希薄になった世界で、青年・ヨウは“ある女性”との出会いをきっかけに、自分の心に芽生える「違和感」に気づいていく。
果たしてこの社会は本当に理想的なのか?
自分の感情は“自分のもの”と言えるのか?
そして、彼が直面する“真実”とは――。
🎯 この小説の面白さポイント
1. 静かな文体で描かれる、心理の波
この作品は派手な展開よりも、じわじわと迫ってくる不安や違和感、そして突きつけられる事実の“重さ”が魅力。ラストに向かって一気に感情が揺さぶられます。
2. AIと人間の境界線を問うテーマ性
AIに支配される未来という、ありふれたテーマに思えるかもしれませんが、本作は“恋愛”という視点からそれを描きます。個人の感情や心の揺らぎに焦点を当てることで、テーマがとても身近に感じられます。
3. 読後感の余韻がすごい
読了後、しばらく心が動けなくなるような静かな衝撃があります。特に「自分の感情って何だろう」と考えるような人には、深く刺さるはずです。
📣 読者レビュー
読み終えてから数日経っても、胸がざわざわする。これはただのSFじゃない。
― 読書メーター
恋愛のような、でも不安で怖くなるような、不思議な読後感。とにかく刺さった。
― Twitter読者
現代に生きる自分たちへのメッセージが込められている気がする。
― Amazonレビュー
💬 まとめ:感情は、誰のものか?
『ユートロニカのこちら側』は、静かな恋と心理SFの融合。AIとの共存をテーマにしながら、極めて“人間的”な物語です。
ドキドキするような展開は決して派手ではありませんが、心理的には非常にハラハラし、考えさせられる作品です。
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