はじめに
「トリックのすごい推理小説が読みたい」
「驚きのラストに圧倒されたい」
そんな方に強くおすすめしたいのが、島田荘司による名作『占星術殺人事件』(講談社文庫)です。
1981年に発表され、「御手洗潔」シリーズの第一作でありながら、すでに完成度が異常に高い!
その大胆なトリックと壮大な構想は、今なお日本ミステリ史上に燦然と輝いています。
あらすじ(ネタバレなし)
舞台は1979年の日本。
若き画家・梅沢平吉が自宅の密室で殺害され、さらにその後、彼の6人の娘たちが全国各地でバラバラに遺体となって発見されるという凄惨な事件が発生します。
奇妙なのは、彼の遺品から発見された一通の手紙。
そこには「6人の娘を殺して理想の女性“アゾート”を作り出す」という、狂気的な計画が綴られていました。
事件は未解決のまま時が流れ、やがて民間人でありながら天才的な推理力を持つ探偵・**御手洗潔(みたらいきよし)**が真相解明に乗り出します。
そして彼は、常識を覆す驚愕のトリックにたどり着くのです──。
この作品の魅力
🧠1. 圧倒的なロジックと知性
『占星術殺人事件』の最大の魅力は、何といっても論理の力で謎を解く快感。
作者・島田荘司は、作中で提示された証拠や状況だけを使い、驚くべき真相へと読者を導きます。
トリックは奇抜で大胆。しかし決して反則ではなく、「ああ、そうだったのか!」と思わせる説得力があります。
📜2. 魅力的な主人公・御手洗潔
変人ながらも圧倒的な頭脳を持つ探偵・御手洗潔のキャラクターも本作の魅力のひとつ。
占星術、心理学、芸術など多彩な知識を持ち、冷静かつユーモアも忘れないその姿は、一度読めばクセになります。
助手役の石岡和己との掛け合いも、後のシリーズを支える名コンビの始まりです。
🧩3. これが「新本格ミステリ」の原点!
1980年代以降、綾辻行人・有栖川有栖・法月綸太郎などが登場する「新本格ミステリ」ブームが巻き起こりますが、
その出発点とされるのが、この『占星術殺人事件』です。
「トリックやロジックに重きを置いた純粋な謎解き小説」
という方向性を、日本ミステリ界に打ち立てた記念碑的作品です。
おわりに
『占星術殺人事件』は、単なるミステリではありません。
**驚愕、知性、美しさ、狂気──すべてが詰まった「読む体験」**そのものです。
「まだ読んでないの?」と言われる前に、ぜひ手に取ってください。
最後のページを閉じたとき、あなたもきっと“あのトリック”に唸るはずです。
コメント